薬剤師のPOS活用
薬剤師の方なら、一度は聞いたことがあるPOSですが、実際に現場で正しく活用されているのか、と言われると疑問な部分もあります。ここでは今一度POSについて解説したいと思います。
POSとは
POSはProblem Oriented Systemの略で、ピーオーエスと呼ばれるものです。日本語では「問題志向型システム」と訳されますが、逆にこの和訳がイマイチわかりにくくしているようにも思えます。
簡単に言えば、「患者さん目線で、患者さんの問題を解決する」という考え方のことであって、一般のサラリーマン社会でも「顧客目線」というような意味合いと相通ずるものがあります。ただし、一般社会であれば、「顧客目線で欲しいサービスを提供する」になりますが、薬剤師の場合は、「患者さん目線で、患者さんの問題を解決する」ということになるのです。
薬剤師の方は、薬の専門家として処方薬の知識などを幅広く理解してしまうと、どうしても処方薬の情報を患者さんに伝えることが多くなってしまい、それでは本当の患者さん目線での問題解決にいたらないということから、POSが重要であると言われているのです。
POSを実行するためには
- 患者さんの目線でどんな問題を抱えているのか?を把握する
- その問題を解決するために、自分は何ができるのか?を考える
- それを実行する
と要は単純なことなのです。しかし、これでは薬剤師さんごとに解釈が違ってしまうため、SOAPというPOSを実行するために有効な記録方法が編み出されました。
SOAPとは
- Subjective date(主観的情報): 患者さんが話した内容
- Objective data(客観的情報): 患者さんの表情や行動、検査データ、処方内容、保険情報、薬剤師が説明したこと、患者さんへのヒアリング内容など
- Assessment(判断・評価): 上記の情報から得られる薬剤師としての判断や意見
- Plan(計画): それに従って何をしたのか?すべきか?次はどうすべきか?の計画
つまり、「患者さんが話した内容」と「それ以外の表情や行動、検査データ、ヒアリング」などを情報として吸い上げPOSの重要な「患者さんの問題点」を把握する。
そして、「上記の情報から適切な判断」をし「情報を伝え」て、「患者さんの問題解決を手助けする」
上記の結果を記録し、「その対応が正しかったのか?」チェックしながら、次回すべきことを記録しておく。
というのがPOSを実行するためのSOAPという記録法の活用になります。SOAPはあくまでも記録法なので、POSを深く理解していれば、独自の方法でも患者さんに対して適切なコミュニケーションがとれるようになるのです。